鈴木 信行 「宝くじで1億円当たった人の末路」の書籍レビューです。
概要
「宝くじで1億円当たったら……」。
こんな淡い期待を胸に、宝くじ売り場につい並んでしまうビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
果たして、「宝くじで1億円当てた」後に待ち受ける末路とはどんなものなのでしょうか。
軽く立ち読みしたところ、おもしろそうな本だったので購入しました。
タイトルは「宝くじで1億円当たった人の末路」ですが、
本書は 23 の末路話が掲載されており、宝くじで 1 億円当てた話題については 1 番目の末路になります。
宝くじの話題は 13 ページ程度になるので、タイトルだけに釣られて買わないように注意です。
23 の末路話
23 の末路話は以下になります。
≪23の末路≫
・宝くじで1億円当たった人の末路
・事故物件借りちゃった人の末路
・キラキラネームの人の末路
・「友達ゼロ」の人の末路
・子供を作らなかった人の末路
・教育費貧乏な家庭の末路
・賃貸派の末路
・自分を探し続けた人(バックパッカー)の末路
・留学に逃げた人(学歴ロンダリング)の末路
・「疲れた。海辺の町でのんびり暮らしたい」と思った人の末路
・電車で「中ほど」まで進まない人の末路
・「グロい漫画」が好きな人の末路
・外国人観光客が嫌いな人の末路
・癖で首をポキポキ鳴らし続けた人の末路
・8時間以上寝る人の末路
・いつも不機嫌そうな上司の末路
・体が硬い人の末路
・禁煙にしない店の末路
・日本一顧客思いのクリーニング店の末路
・リモコン発見器の末路
・ワイシャツのしたに何を着るか悩む人の末路1
・ワイシャツのしたに何を着るか悩む人の末路2
・男の末路
・アジアの路上生活障害者の末路
末路というものの、実際は多くの人の人生談のような内容で、
そのような生き方の選択をした場合どのようなことになるのかという、具体的な話が書いてありとても興味深いものでした。
そのうち個人的に気になった以下 2 つの末路についてレビューしていきたいと思います。
- 宝くじで1億円当たった人の末路
- 「疲れた。海辺の町でのんびり暮らしたい」と思った人の末路
宝くじで1億円当たった人の末路
一般人がいきなり 1 億円という大金を手に入れた場合、
金銭感覚が麻痺してしまい、極度に財布の紐が緩むことから、日々の生活レベルを上げただけでもあっという間のなくなってしまうそうです。
つまり 1 億円はその程度の金額ということです。
金額としてはとても大きいですが、1 億円あれば一生安泰というわけでもないということです。
「1 億円あったら起業するなりセミリタイアできるんじゃないの?」と思うところですが、
本来セミリタイアも起業も綿密な事前計画な必要になり、不意に不労所得を手に入れた人は冷静ではなくなっているため、急にやろうと思っていてもまず難しいとのことです。
いきなり不労所得を手にした立場が思い立ってやれることではないということですね。
宝くじは控除率の高さ (50 %) から「愚か者に課せられた税金」と揶揄されることもあるそうで、
宝くじは「ろくでもない」ものとして強調されており、また「買わないのが正解」とさえ書かれています (笑)
- 外れ → お金と時間のムダ → ろくでもない
- 当たり → 親族トラブル、かえって貧困化、やる気の喪失 → ろくでもない
外れても当たってもいいことないのが、宝くじらしいです。
「疲れた。海辺の町でのんびり暮らしたい」と思った人の末路
将来セミリタイアを目指している立場として、とても興味深い話でした。
話者は館山市 (千葉県) で移住支援を手がけている方です。
多くの移住者のサポートをしてきた話者が言うには、
セミリタイアし、晴耕雨読だけの生活では大抵の人は寂しさやストレスに悩まされてしまうそうです。
ここでいうストレスは「貯蓄が減り続けるストレス」です。
館山にセミリタイアで移り住んだ方の事例も載っていましたが、
どんなに資産を築いてリタイアに突入した人でも、結局は上記理由から労働を再開してしまうそうです。
労働をすることで、人との関わり合いができるため孤独に悩まされることはないし、また生活費をある程度補えるため、貯蓄が減り続けるストレスからはかなり解消されるそうです。
この辺は実際に体験してみないと分からない意見なので貴重な話でした。
「自然に囲まれて、ストレスから解放されて、のんびりしたい!!」という程度でセミリタイアを志すのはまだまだ甘いですし、具体的にやりたいことを見つけておかないとセミリタイア後に退屈が最大の敵になってしまいます。
そういう意味でもセミリタイアに向けた準備や心構えは数年単位でしておくものだと改めて実感させられました。
また館山で暮らす場合の家賃ですが、
- 普通に暮らすなら家賃 5 万円
- 贅沢するなら家賃 6 万円
- 4 万円なら我慢の毎日
- 3 万円なら修行の日々
が目安になっており、
加えて車社会のためガソリン代で月 2 - 3 万円ほどかかってくるとのことです。
また光熱費や水道代なども首都圏よりも高くなるため、生活費だけでみると実は首都圏と大差なかったりします。
「地方の方が家賃安いだろう」と安易な憶測で地方移住すると、痛い目にあいそうです。
自分も地方出身なのでよく分かるのですが、隣人に無関心でいられる都会と比べ、田舎の場合は、隣人同士で濃密な関わり合いが発生します。
「見張り合い」と言い換えてもいいくらいです。
隣人が何をしているかはご近所中に知れ渡りますし、ある意味プライバシーのない世界でもあります。
自治体とかいうのにも嫌が応にも関わらないといけないですし。
本書では「「田舎」=のどか」は幻想」と表現されています。
都会と田舎で生活費に大差はなさそうなので、
- 周囲に無関心で済む都会
- 積極的に人と関われる地方
この辺は個人の好みによると思いますが、
「田舎でのんびり暮らしたい」というプラスイメージだけが先行して移住するのは大変危険なこととのことです。
のんびり暮らすつもりが、慣れない隣人付き合いのため逆に疲弊する結果となるかもしれません。
この本を読んで、ボクのセミリタイア先は東京近辺でもいいかなと思いました (笑)