東野 圭吾 「流星の絆」の書籍レビューです。
読みやすさ: ★★★★★
世界観: ★★★☆☆
感動: ★★★★☆
シナリオ構成: ★★★★☆
予想外の結末: ★★★★☆
総合評価: ★★★★☆
「大人になったら、三人で、犯人探して復讐しような」
幼い頃、両親を殺された洋食店「アリアケ」の三兄妹。14年後、大人になった彼らは結婚詐欺をして暮らしていた。最大のターゲットとして選んだのは、レストラン「とがみ亭」の御曹司。
ところが、その名物料理は、懐かしい「アリアケ」と同じ味だった。
「これはお父さんのハヤシライスだ――」何者かに両親を惨殺された三兄妹は、流れ星に仇討ちを誓う。
14年後、互いのことだけを信じ、世間を敵視しながら生きる彼らの前に、犯人を突き止める最初で最後の機会が訪れる。
三人で完璧に仕掛けたはずの復讐計画。
その最大の誤算は、妹の恋心だった。
↓↓ネタバレ含むので閲覧注意です。
これはドラマ化もされているので、有名な話ですね。
ドラマ版を以前にみたことがあったので、ネタバレを知っていたのですが、それでも楽しく読むことができました。
むしろドラマを見たことがあったからこそ、特徴のある兄妹のイメージをドラマ版のキャストと照らし合わせて読み進めることができました。
- 有明 功一 - 二宮和也
- 有明 泰輔 - 錦戸亮
- 有明 静奈 - 戸田恵梨香
原作を読んだ後でも上記はベストキャストだったと改めて感じました。
ドラマ版を見たことがない人は上記キャストをイメージするのをオススメします!
東野圭吾お得意の後半で一気に物語を回収する技術には相変わらず圧巻されます。
真犯人が誰かを知っていながら読んでいたものの、いつ真相が明らかになるかハラハラしていました。
そして読み終わり後の爽快感もあり、
ここまで物語に飲まれつつ、かつ読了感もスッキリしている作品は珍しいのではないでしょうか。
本物語の真相ですが、
- 有明 幸博 (兄妹の父親) は実はギャンブルで多額の借金を抱えていた
- そこで幸博は、戸神 政行にレシピを売る約束をしていた
- また警察官である柏原 康孝にも違法ギャンブルの返済猶予の働きかけを依頼していた
- 事件当日、柏原は返済猶予ではなく摘発を提案し、その代わり幸博が返済に充てる予定だった 200 万円を貸してくれないかと持ちかける
- 幸博はそれでは報復が怖いため拒否
- 息子の手術代として 200 万円が必要だった柏原は有明夫妻を殺害
- レシピを受け取りにきた戸神は、殺害現場を目撃するものの、レシピを持ち去りその場から立ち去る (泰輔が目撃したのはこれだった)
だれが悪いかといったら、全員が悪いですね・・・。
殺害行為をした柏原は当然ですが、
借金のキッカケになったギャンブルにのめり込んだ有明幸博も悪いし、14 年間物証を隠し続けた戸神も悪いです。
結果言えることは、3 人の大人の過ちのせいで幼い 3 兄妹の人生が大きく狂ったということです。
特に被害者である有明幸博に関しては、直接的な原因でないにしろ、殺害された原因にギャンブルでの借金があります。
自分もギャンブルでの借金に苦しんでいるクチなので、フィクションの話ではありますが、自分に照らし合わせて考えざるをえない物語でした。
ギャンブルでの借金は人生狂わされますね。
単なる借金ではなく、ギャンブルでの借金というところがポイントです。
ギャンブルの場合、借金を延々とし続けることになるため、終わりのない返済地獄に巻き込まれます。そして返済地獄の日々はその人の価値観も変えてしまいます。
ギャンブル要因の借金だけはやめましょう。