ソシャゲの音楽を使うのはお金がかかる
モンスターストライクでエヴァンゲリオンコラボ (3 回目) 中です。
コラボクエスト中でエヴァンゲリオン楽曲が使われており、エヴァンゲリオンを知っている人なら盛り上がってしまう、憎い演出がなされています。
楽曲利用はユーザにとってはうれしい演出なのですが、
実はゲーム開発側にとっては凄まじくコストがかかる演出ということをご存知でしょうか。
自分もゲーム制作に関わる業務をしていた頃に楽曲利用の担当をしていたことがあるのですが、
ソシャゲにアニメ楽曲を使用するという話を企画から持ち込まれると「( ゚д゚) え・・・」となるほど、著作権使用料は高いものなのです。
今回は【エヴァンゲリオン×モンスト】コラボの楽曲使用料 (著作権使用料) がいくらかかっているのか計算してみようと思います。
JASRAC の楽曲使用料
JASRAC の規程によると、ソーシャルゲームの場合、
「3.5 円 × 使用楽曲数 (1 ダウンロード)」が使用料となり、それにコラボ期間中のダウンロード総数をかけたものが、楽曲の使用料の総額になります。
楽曲の使用料総額 =
「3.5 円 × 使用楽曲数」 × 「ダウンロード数 (アクティブユーザ数)」
「使用楽曲数」と「ダウンロード数 (アクティブユーザ数)」が分かれば使用料の総額が分かるということになります。
使用楽曲数を調べる
モンスト中で使われているエヴァンゲリオンの楽曲は以下の 5 曲です。
ANGEL ATTACK
DECISIVE BATTLE
THE BEAST Ⅱ
交響曲第9番"合唱"第4楽章
残酷な天使のテーゼ (曲のみ)
このうち JASRAC 管理の楽曲にのみ使用料が発生するので、どの楽曲が JASRAC に信託されているのかを調べます。
楽曲が JASRAC 管理かどうかは、以下から調べることが可能です。
「ANGEL ATTACK」「DECISIVE BATTLE」「THE BEAST Ⅱ」
「ANGEL ATTACK」「DECISIVE BATTLE」「THE BEAST Ⅱ」の 3 曲は「エヴァンゲリオン BGM」という管理名で登録されていました。
「残酷な天使のテーゼ」
「残酷な天使のテーゼ」も同様に JASRAC 管理でした。
「交響曲第9番"合唱"第4楽章」
「交響曲第9番"合唱"第4楽章」ですが、著作権者のベートーヴェンがとっくに亡くなっているので著作権の保護期間が終了し、楽曲の使用に際して使用料は発生しません。
ということで、
コラボで使用されている楽曲 5 曲のうち、JASRAC 管理の楽曲は 4 曲でした。
ダウンロード数 (アクティブユーザ数)
十二支当たったが、3億山分けで端数切り捨てで1500円だった。つまり約20万人当てた。
午-戌投票率6.454%だからこんな誰でも参加するような企画で約310万人しか参加してない。
サブ垢含めてアクティブは310万アカウントしかないことが分かったな。
アクティブユーザ (実際にゲームをプレイしているユーザ) は公式発表されていないので、最近のイベントの参加状況から逆算している数字を利用します。
今回はアクティブユーザ全員がエヴァンゲリオンコラボに参加している想定とするので、
アクティブユーザは310 万人となります。
モンストのアクティブユーザ率
ちなみにまったく余談ですが、モンストのダウンロードは 2017 年 5 月に 3,400 万人を突破しています。
皆様にご利用いただきまして、モンストは国内でのご利用者数3400万人を突破することができました!
3,400 万人がインストールして、うち 310 万人がプレイしているということは、アクティブユーザは全体の 9.1 % ということになります。
楽曲使用料を計算してみる
楽曲の使用料総額 =
「3.5 円 × 使用楽曲数」 × 「ダウンロード数 (アクティブユーザ数)」
「使用楽曲数」と「ダウンロード数 (アクティブユーザ数)」が分かったので楽曲使用料の総額を計算します。
楽曲使用料は、なんと、
4,340 万円!! (ドンッ
コラボ 1 回の、しかもたった 4 曲の使用料だけで 4,300 万円以上もかかってしまうのですね・・・。
高すぎる。
1 曲あたり、1,085 万円です。
また 4,340 万円は著作権だけに関わる使用料になり、この他に原盤権という楽曲を制作した人 (レーベル) に発生する権利に対する費用も別途発生します。
これは特に費用の規定あるわけでなく交渉で金額が決まるので推測ができないのですが、エヴァンゲリオンの楽曲であるため安くないことは想像に難くないでしょう。
「残酷な天使のテーゼ」が高橋洋子さんの歌入りではなく曲のみだった理由として、歌入りの楽曲を使用すると原盤権に関わる費用も発生してしまうため、そのコストを抑えるための策だったのではないかと推測できます。
ソシャゲのコラボイベントはお金がかかっている
たった 1 回、それも 10 日間のイベントのために 4,000 万円以上かけているわけですから、
それでもコストをペイできると判断しているわけで、損得勘定の桁が違うなぁと思った次第です。
さすがソシャゲの帝王のモンストです。
ソシャゲというと無料でプレイできるためコスト感はとても意識しづらいのですが、
開発費用の他に、サービス運営費用やコラボイベントの費用なども考えると、もう既にコンシューマーゲーム (ソフトを買うタイプのゲーム) とは比較にならないほどの予算規模になっているのかもしれません。
日本のゲーム市場も 30 年前と比べるとずいぶん様変わりしたもんです。