東野 圭吾 「ラプラスの魔女」の書籍レビューです。
読みやすさ: ★★★★☆
世界観: ★★★☆☆
感動: ★☆☆☆☆
シナリオ構成: ★★★★★
予想外の結末: ★★★☆☆
総合評価: ★★★★☆
"円華という若い女性のボディーガードを依頼された元警官の武尾は、行動を共にするにつれ彼女には不思議な《力》が備わっているのではと、疑いはじめる。
同じ頃、遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きていた。検証に赴いた地球化学の研究者・青江は、双方の現場で謎の娘・円華を目撃する――。
価値観をくつがえされる衝撃。物語に翻弄される興奮。
The 東野圭吾といった作品でした。個人的には久しぶりのアタリ!!
ミステリー小説としての東野圭吾の作品を好きな人にはピッタリの作品です。
「初めて東野圭吾の作品に手をだしてみようかな」と思っている方にも向いています。SFとミステリーが融合した独特の世界観に引き込まれること間違いなしです。
今回の作品ですが、
・脳医学
・数学
・予測学 (量子力学)
といった理系の話題がメインになります。理系の方や、ちょっと厨二をかじった方には涎もののキーワードなのではないでしょうか。
いつも通り、内部でだいぶ細かく説明してくれるので予備知識なくても全然読めます。
専門分野に疎い人物を登場人物において、
専門家がその人物に解説するのは東野圭吾の小説ではよく見られる風景です。
表題の「ラプラス」ですが、よく漫画やアニメ、SF 小説なんかに出てくるアレです。
「ラプラスの悪魔」として出てくることも多いですね。
ポケモンの青いやつではないです (笑)
つまり、世界に存在する全ての原子の位置と運動量を知ることができるような知性が存在すると仮定すれば(ひとつの仮定)、その存在は、古典物理学を用いれば、これらの原子の時間発展を計算することができるだろうから(別の仮定)、その先の世界がどのようになるかを完全に知ることができるだろう、と考えた。この架空の超越的な存在の概念を、ラプラス自身はただ「知性」と呼んでいたのだが、後にそれをエミール・デュ・ボワ=レーモンが「ラプラスの霊(Laplacescher Geist)」と呼び、その後広く伝わっていく内に「ラプラスの悪魔(Laplacescher Dämon)」という名前が定着することとなった
簡単に言えば「量子力学を使えば未来の事象は全て計算可能」ということです。
ミステリーや SF だと、割とよくでてくるワードなので、好きな人はすんなり読めると思います。
世界観はありきたりですが、相変わらず読みやすさは秀逸です。
あれだけ登場人物が多いにも関わらず「なぜか名前を覚えている」テクニックはすごいです。
※海外小説なんかは、登場人物が分からなすぎて何度も表紙裏の登場人物一覧を見に行くことになります・・・
主要キャラクター: 10 人、切り替えシーン数: 4 - 5 シーンといったところでしょうか。
個人的には、シナリオ構成が自分のツボにどハマりでした。
「いくつもの伏線を散らばせておいて、後半徐々に収束させていく」パターンの推理モノが好きなので、今回はまさにそれでした。
序盤に「???」が多いほど、
読み進めるにつれ「これどうなるんだろう!?」というワクワクが増えていきます。
中盤の黒幕が分かり始めるあたりからは一気に読めます。
後半ちょっと展開が、急に急ぎすぎた感じはありますが・・・。
終わり方もモヤモヤするようなではないです。
だいたい喫茶店で読み終わるのですが、
帰り道に「この後どうなったんだろうな〜?」って楽しく考えれるような終わり方です。
東野圭吾の作品としては王道パターンなので、
彼の作品が好きな方は読んで間違いなしの一品でした。