最近よく「JPMベスト・インカム」という商品を見かけるので目論見書などから自分なりの評価をしてみます。
メディア情報
インカム投資という、値上がり差益ではなく、利子や配当での収益を狙った投資商品のようです。
また世界 1,800 もの銘柄に分散投資しているのも特徴で、平均利回りは 4.7 % とされています。
商品概要
分散対象が全世界 1800 銘柄でかつ、投資先対象は債権・株式・リート (不動産) と幅広く扱っています。
この商品の特徴としては、「インカム」と名が付いている通り、利子・配当での利益がメインですが、
それ以外に債権・株式などの投資比率をその時の市況に合わせて適宜組み替えることで、最大利益を狙ってくれることになります。
株式全体が値下げ傾向にあるときは株式比率を下げ債権比率を上げ、
また値上げ傾向にあるときは株式比率を上げ債権比率を下げる、といった作業をファンド側が行ってくれます。
直近 4 ヶ月の資産構成比率の変化は以下になります。
2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | |
株式 | 32.5 % | 35.3 % | 34.6 % | 37.1 % |
債券 | 47.7 % | 46.0 % | 44.1 % | 42.2 % |
その他 | 15.8 % | 15.2 % | 15.0 % | 14.5 % |
現金 | 4.1 % | 3.5 % | 6.2 % | 6.3 % |
そこまでアグレッシグに構成比率を変更しているわけではないようです。
動的に資産構成を変更しているとはいえ債権比率が高いため、
若干ローリスクローリターン寄りといった商品イメージになります。
感想
気になる点は、購入手数料と信託報酬の高さになります。
購入手数料
購入手数料は 3.24 % と高い部類に入ります。
※SBI 証券のインターネット購入の場合でも 2.16 %
投資先ファンド「グローバルインカムファンド」の平均利回りは4.7%となっています(2017年3月末時点)。
投資信託自体の平均利回りは 4.7 % をうたっていますが、その大部分が購入手数料で相殺されてしまうことになります。
具体的に計算してみます。
仮に 100 万円を投資した場合、購入手数料が 3.24 % のため、購入した時点で約 97 万円まで目減りしてしまいます。
そしてその 97 万円に先ほどの紹介記事の年間利回り 4.7 % がのってくるので、
1 年後の資産額は、
1,005,120 円
となります。
100 万円投資したものの、1 年後の利益はたったの 5,000 円です。
年間利回りは 4.7 % ですが、購入手数料のせいで、実質の年間利回りはわずか 0.5 % にまで落ちてしまいました。
信託報酬
信託報酬は約 1.6 % になります。
この商品は「ファンド・オブ・ファンズ」といって、複数の投資信託を組み合わせて運用するものになります。
投資信託には、日本株式をメインに扱っているものや先進国株式がメインのもの、日本債権がメインのものなど沢山の種類がありますが、
ファンド・オブ・ファンズ形式とすることで、それらを複数組み合わせることで安全性を高めて運用することができます。
本商品はマザーファンドの「JPMグローバル・インカム・ファンド」のみへの投資に関わらず、信託報酬が 1.6 % と高い水準になっています。
ファンド・オブ・ファンズ形式の商品の中には、複数のファンドを投資先としているにも関わらず信託報酬がもっと安いものもあり、
同じ 1.6 % 程度の信託報酬払うならば、もっと利回りの高いアクティブファンドを選択したほうがいいのかなと思います。
というか、ファンド・オブ・ファンドといいつつも、
本商品を構成している投資信託はマザーファンドの「JPMグローバル・インカム・ファンド」が 98 〜 99 %を占めており、実質的にはマザーファンドへの投資比率を変えることで資産構成を動的に調整している形になります。98 〜 99 % を行ったり来たりしながら・・・。
ものすごーく職人芸な調整比率が影に隠れているのかもしれませんが、これだけの作業で 1.6 % は高いというのが正直な感想です。
ということで、「JPMベスト・インカム」を一言で言うと、
ローリスク・ローリターン & ハイコスト
コストの高さがせっかくの利益を打ち消してしまい、
「損することもないが、利益が増えることもなさそう」というのが本商品への評価です。