総務省からの方針発表まとめ
ふるさと納税の自治体は指定制に変更 (3/28 (木) 追記)
改正地方税法が 2/27 (水) に国会成立したことを受けて、総務省は 3/28 (木)、2019 年 6 月以降のふるさと納税の基準を公表しました。
大きな変更点は、6 月以降のふるさと納税の自治体が事前承認制になるということです。
つまり「総務省に指定された自治体への寄付のみ、所得税・住民税の減税措置を受けることができる」ということになります。
従来はどの自治体への寄付でも所得税・住民税の減税措置を受けることができましたが、2019 年 6 月以降は指定外の自治体へ寄付した場合、減税措置を受けることができなくなるので注意が必要です。
今後、ふるさと納税する際は「対象自治体が総務省指定かどうか」を注意する必要がありますね。
ふるさと納税参加を希望する自治体は、4/10 (火) までに総務省に届け出る必要があり、総務省は 5 月中旬ごろに審査結果を発表する予定です。
事前承認の観点
- 寄付金を適切な方法で募集しているか
- 返礼品の調達費 (還元率) が寄付額の 30 % 以下か
- 返礼品は地場産品かどうか
指定承認後に上記に違反した場合、2 年間指定を受けれなくなるといったペナルティも用意されています。
東京都以外の全自治体が新基準で申請 (4/11 (木) 追記)
ふるさと納税制度をめぐり、東京都を除く全国すべての自治体が、返礼品を寄付額の3割以下の地場産品とするなどとした新たな基準にそって、今後も制度に参加する申請を行いました。
4/11 (木) 時点で「46 道府県」「1741 市区町村」が申請を行っており、東京都は唯一参加の申請をしていません。
どうなる泉佐野市!?
ふるさと納税対象と指定する基準の 1 つに「昨年 11 月以降の寄付金の集め方が適正だったかどうか」も含まれています。
そのため、2018 年年末のふるさと納税で、
- Amazon ギフト券を返礼品として多額の寄付を集めた「静岡県 小山町」
- 寄付額に応じた Amazon ギフト券を還元している「大阪府 泉佐野市」
などは指定外となる可能性が非常に高いと推測できます。
-
泉佐野市が Amazon 券 20% 還元中 | ふるさと納税終了セール
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また総務省から定期的に発表される「ふるさと納税に係る返礼品の送付状況について」で、
- 返礼割合実質3割超の返礼品を送付している団体
- 地場産品以外の返礼品を送付している団体
の注意喚起 2 項目の常連自治体も同様に指定外の可能性が高くなるのではないでしょうか。
「静岡県小山町」「大阪府泉佐野市」「和歌山県高野町」「佐賀県みやき町」の 4 市町村の除外が決定 (5/14 (火) 追記)
総務省は14日、6月に始まる「ふるさと納税」の新制度で静岡県小山町、大阪府泉佐野市、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4市町の参加を認めないと正式発表した。
6月1日以降、これらの市町に寄付しても制度上の税優遇は受けられない。
2019 年 6 月からの新ふるさと納税の対象自治体が、総務省から発表され、4 自治体が対象外となりました。
対象外となる自治体
- 静岡県小山町
- 大阪府泉佐野市
- 和歌山県高野町
- 佐賀県みやき町
審査基準に「昨年 11 月以降の寄付金の集め方が適正だったかどうか」が含まれていることから、散々警告されていたにも関わらず、
- 地場特産品以外のギフト券などを返礼品としていたこと
- 還元率 30 % 以上の返礼品を提供し続けていたこと
など、過度な返礼品競争をし続けていたことが原因と考えられます。
2019 年 6 月以降、これらの自治体に寄付をしても寄附金控除を受けることができなくなるため、注意しましょう。
※してしまった場合、ふるさと納税でなく、ただの寄付扱いになります
これらの自治体へのふるさと納税を考えている人は、5 月中に済ませておくことをオススメします。
【まだ間に合う!】規制前にもらえるオススメ返礼品
- サーティワンアイスクリーム商品券5 月末まで
寄付額: 13,500 円 〜 135,000 円
実質還元率: 32 %
※返礼品: 29 % + Amazon ギフト券: 3 % - リンガーハットグループ共通商品券5 月末まで
寄付額: 13,500 円 〜 270,000 円
実質還元率: 32 %
※返礼品: 29 % + Amazon ギフト券: 3 % - 防水ヘッドケア機 セレブリフト5 月末まで
寄付額: 40,000 円
実質還元率: 33 %
※返礼品: 30 % + Amazon ギフト券: 3 % - 佐賀牛 豪華800g 切落し5 月末まで
寄付額: 17,000 円
実質還元率: 33 %
※返礼品: 30 % + Amazon ギフト券: 3 %
地場産品の定義
今までアヤフヤだった地場産品の基準も新たに提示され、原材料の生産または製造・加工のどちらかを自治体で行われているものを地場産品とするとのことでした。
地場産の範囲を同都道府県にまで広げたり、近隣の自治体と協力して作られた「共通返礼品」も認めたりと、今回の規制に伴い地場産品は緩く定義されたようです。
ふるさと納税 返礼品規制のあらすじ
ふるさと納税の改正案
平成31 年度の税制改正に関する閣議決定の中に、ふるさと納税制度の抜本的な見直しが盛り込まれました。
個人住民税における都道府県又は市区町村(以下「都道府県等」という。)に対する寄附金に係る寄附金税額控除について、次の見直しを行う。
① 総務大臣は、次の基準に適合する都道府県等をふるさと納税(特例控除)の対象として指定することとする。
イ 寄附金の募集を適正に実施する都道府県等
ロ イの都道府県等で返礼品を送付する場合には、次のいずれも満たす都道府県等
(イ)返礼品の返礼割合を3割以下とすること
(ロ)返礼品を地場産品とすること
② ①の基準は総務大臣が定めることとする。
③ 指定は、都道府県等の申出により行うこととする。
④ 総務大臣は、指定をした都道府県等が基準に適合しなくなったと認める場合等には、指定を取り消すことができることとする。
⑤ 総務大臣は指定をし、又は指定を取り消したときは、直ちにその旨を告示しなければならないこととする。
⑥ 基準の制定や改廃、指定や指定の取消しについては、地方財政審議会の意見を聴かなければならないこととする。
⑦ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31 年6月1日以後に支出された寄附金について適用する。
返礼品規制のポイント
- 返礼品の調達費が寄付額の3割以下とすること
- 返礼品を「地場産品」とすること
法案が可決された場合、6月1日以降、規制に違反した自治体は、税優遇が受けられなくなります。
ふるさと納税をすると、自治体に対する寄付金から2千円を引いた額が、減税されていました。
しかし、対象外となってしまった場合、この恩恵を受けられなくなってしまいます。
各自治体は、規制に従うしかなさそうです。
また、引き続き制度に参加したい自治体は、総務省に申し出て、制度の対象に指定される必要があります。
返礼品や寄付の募集方法が適正でない自治体は、参加が拒まれるようです。
豪華な返礼品や、高い還元率で、お得感の強いふるさと納税ですが、今後は徐々に内容が見直されていくでしょう。
「地場産品」の定義
規制の内容について、「地場産品」の定義があやふやという声が上がっています。

地元の工場が部品を作っているが最終製品は外国製の場合は?

途中まで他地域で育った魚や肉は?
と地場特産品の扱いに戸惑っている自治体も多いのが現状です。
ふるさと納税に関する有識者の評価
ふるさと納税の問題点
返礼品が「通販化」していることについて、厳しい見方がなされています。
「ふるさと納税は、ふるさとに恩返しをする目的で創設された制度です。返礼品も、納税をしてくれた人に市町村から感謝の意を伝えるというものです。
返礼品を贈ることで、地方の経済を回すという目的もありました。
しかし、返礼品ラインナップにスペイン産のワインなどが並んでいるケースもあり、返礼品が地域振興に結び付いていないケースも散見されます。
そうしたことから、返礼品の見直し作業が進められていたのです」(総務省職員)
「ふるさと納税」は、「寄付金控除」の仕組みを利用した自治体への「寄付」のことを指します。
「地域を応援したい」という気持ちを前提としてあるべき仕組みです。
ところが、返礼品が目的化してしまうと、本来のふるさと納税の在り方から外れているとして、批判を浴びているのです。
また、還元率の高い自治体に人気が集中し、数十億円規模の寄付金を集めることもありました。
総務省の指導に基づいた、節度ある返礼品をした自治体がお金を集めることが出来ないことを問題視する声が見られます。
ふるさと納税の利点
一方で、ふるさと納税の利点を評価する声もあります。
- 納税者とある特定の地域との結びつきが形成される
- 大学や就職で都会に出た人が、育ててもらった地域に恩返しできる
- 納税者自ら寄付先を選択することで、使われ方を考えるキッカケとなる
自分が今住んでいる場所以外の地域と結びつきを得られる点は、ふるさと納税のメリットです。
特に、災害時、返礼品がなくとも多額の納税が集まった事例は高く評価されています。
被災地を支援するふるさと納税は、返礼品を伴わない。
純粋に自治体を応援するという意味では、これこそ、本来の目的に沿った出番である。
2016年の「熊本地震」の際には、30億円を超す寄付が集まった。
また、広告宣伝費にお金をかけられない小さい自治体が、返礼品を用いて特産品を広めることができる点も魅力です。
ブランド化されていない商品が評価される場としても機能しているようです。
このように、納税者と地域に結び付きが生まれる点は、高く評価されています。
ポータルサイトにも規制の影響が及ぶ見込み
ふるさと納税制度がはじまった直後の返礼品は、ささやかなものでした。
しかし、ポータルサイト運営事業者の登場が、過剰な返礼品競争を後押ししました。
ふるさと納税のポータルサイトの場合、ふるさと納税に関する情報が集まっています。
また、寄付金に対するポイント還元など、お得な特典が用意されていることが多いです。
もちろん、こうしたポータルサイトは、寄附者の利便性向上に役立っています。
とはいえ、返礼品の通販化が進んだ要因の一つと言えるでしょう。
総務省は、返礼品が「納税の対価の提供」という風に誤解されないよう、工夫を求め、
- 返礼品の価格
- 返礼品の価格の割合(寄付額の何%相当など)
の表示を避けるよう、注意を促していました。
その中には、各地方団体のウェブサイトや広報媒体等における表示のみでなく、ポータルサイトによる情報提供も含まれます。
今後は、ポータルサイトに対しても指導が入るかもしれません。
今後禁止が予想される品目リスト
引き続き制度に参加したい自治体は法成立後に、総務省に申し出る必要がある。
同省は返礼品や寄付の募集方法が適正かどうか確認し、5月に問題のない自治体だけを対象に指定する予定だ。
法案が成立した場合、2019年6月以降は、ふるさと納税の対象となる自治体を総務省が指定します。
総務省に適正だと認められなければ、制度に参加できません。
つまり、今後は総務省がふるさと納税の趣旨に沿っていないと考える返礼品は、禁止されていく可能性が高いです。
総務省は、過去に、次のような品目を返礼品にふさわしくないと示していました。
- 金券類(商品券・プリペイドカード・ポイント・地域限定の金券など)
- 資産性の高いもの(電子機器・家具・貴金属・時計・楽器・自転車など)
換金性の高いものや、転売される可能性の高い商品は自粛が促されていますね。
以前は、イオン商品券や図書カード、iPadなどが問題になりました。
今後、総務省による規制が厳格化された場合、禁止される可能性が高いでしょう。
ふるさと納税まとめ