高金利通貨といえば「トルコリラ」「南アフリカランド」「メキシコペソ」なんかが代表格で、各国の政策金利 (2019 年 6 月) は、
- トルコ: 24 %
- 南アフリカ: 6.75 %
- メキシコ: 8.25 %
- 日本: 0.1 %
と、非常に高く設定されています。
それぞれの国の対円通貨を買いポジションで保有すると、日本の政策金利との差分を金利所得 (スワップポイント) として得ることができます。
例えばトルコリラの場合、年 23.9 % ほどの金利所得を得ることができます。
※23.9 % = 24.0 % (トルコ) - 0.1 % (日本)
しかも、FX 業者を利用するとレバレッジが利用できるため、例えば 5 倍で購入した場合、年間金利は驚異の 125 % まで膨らみます。
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と、高金利通貨を買って保有しておけば、簡単に不労所得を得ることができそうですが、はたしてそうなのでしょうか!?
この記事では、過去データ (2017 年 1 月 ~ 2019 年 4 月) から、高金利通貨をドルコスト平均法で定額積み立てした場合の収益状況をバックテストしてみました。

トルコリラで不労所得目指すぜ!!
と画策している人、一見の価値ありですよ ( ・ㅂ・)و ̑̑
ドルコスト平均法とは?
ドル・コスト平均法とは、株式や投資信託などの金融商品の投資手法の一つ。
定額購入法ともいう。
金融商品を購入する場合、一度に購入せず、資金を分割して均等額ずつ定期的に継続して投資する。
例えば「予定資金を12分割して、月末ごとに資金の1/12を投入し、一年かけて全量を買う」という手法。
積み立ての前提条件
- 購入方法:
10 万円を拠出し、50 万円分 (レバレッジ 5 倍) をドルコスト平均法で購入 - 購入日:
毎月 1 日 - 期間:
2017 年 1 月 〜 2019 年 4 月
※28 ヶ月
バックテスト期間中のスワップポイントは当時のものを適用しています。
「トルコリラ」をドルコスト平均法で積み立てた場合
- 平均取得単価: 25.5 円
- 購入数: 548,223
内訳 | 金額 |
ポジション損益 | -316 万円 |
スワップ損益 | +207 万円 |
評価損益 | -109 万円 |
大赤字です\(^o^)/
スワップ単体では 1 年あたり 100 万円弱の利益ですが、それ以上にトルコリラ本体の価値が大幅に下がったため、合計すると 100 万円以上の赤字となってしまいました。
今回はレバレッジ 5 倍で試算しましたが、1 倍でも変わらず赤字です。
https://twitter.com/teppesmn/status/1133902330145910784
今回の試算結果が赤字となった要因は、下落傾向にあるトルコリラに対し、定額積み立て (ドルコスト平均法) を利用してしまったことです。
ドルコスト平均法は万能な投資法のごとく勘違いしてしまいがちですが、有効なのは「上昇相場」「上昇に転じそうな相場」です。
下落傾向の商品に対してドルコスト平均法を利用してしまうと、今回のトルコリラのように、損失が膨らみ続けてしまうという残念な結果になってしまいます (´・ω,';,';,',
ドルコスト平均法で投資する際には「長期的に上昇する見込みがあるかどうか」を判断する必要があります。
トルコリラのトレンド
30 年チャート
ゼロに近づきすぎてしまい、グラフとしての機能を果たしていないですね。
1990 年は「1 トルコリラ = 58 万円」もしたのですよ。
それがいまや 18 円 (´・ω,';,';,',
4 年チャート
トルコリラの動き
- 2015 年: -12.5 円
- 2016 年: -10.6 円
- 2017 年: -3.4 円
- 2018 年: -9.0 円
直近 4 年でみても、下落スピードは落ちているものの、長期視点だと今だに下落基調であることは変わりません。
今回のバックテストは 2017 年からのデータを用いましたが、それ以前も試算対象とした場合、損失額はよりすさまじいことになったでしょう (((( ;゚Д゚)))
「南アフリカランド」をドルコスト平均法で積み立てた場合
- 平均取得単価: 8.3 円
- 購入数: 1,683,278
内訳 | 金額 |
ポジション損益 | -98 万円 |
スワップ損益 | +118 万円 |
評価損益 | +20 万円 |
「メキシコペソ」をドルコスト平均法で積み立てた場合
- 平均取得単価: 5.8 円
- 購入数: 2,413,698 円
内訳 | 金額 |
ポジション損益 | -19 万円 |
スワップ損益 | +122 万円 |
評価損益 | +103 万円 |
まとめ
高金利通貨の積み立て結果
トルコリラ | 南アフリカランド | メキシコペソ | |
ポジション損益 | -316 万円 | -98 万円 | -19 万円 |
スワップ損益 | +207 万円 | +118 万円 | +122 万円 |
評価損益 | -109 万円 | +20 万円 | +103 万円 |
※2017 年 1 月 〜 2019 年 4 月 (28 ヶ月)
高金利通貨のスワップ所得は非常に魅力的です。
しかし、為替変動が大きいため、マイナストレンド中に積み立て続けてしまうと、ポジション自体の損失が膨らんでしまい、結果的にマイナスになってしまう恐れがあります。
メキシコペソのようなレンジ相場でないと、スワップ金利で不労所得を得るのは難しいようです。
※レンジが崩れてしまうと大惨事
トルコリラは、スワップポイントの高さから非常に人気のある通貨となりました。
とはいえ、トルコリラ本体は長期的には変わらず下落傾向にあるため、盲目的にスワップ狙いで保有し続けるのは非常に危険と言えるでしょう。
考えなしに高金利通貨を積み立ててしまうと、目先の不労所得の裏では、元本がゴリゴリ減る可能性が大いにあるということです (´;ω;`)
また、忘れがちなのが、「そもそも為替はスワップポイントも勘定に入れて変動している」ということです。
「スワップポイントの旨み以上に価値下がるだろうなぁ」と投資家たちが判断した上で現在の価格に至っているというわけです。
スワップポイントは、+αの要素ではなく、既に現在の通貨価値に織り込まれているものなので注意しましょう。
また、高金利が一時的なものであることも忘れてはいけません。
オーストラリアドルの金利
以前は高金利通貨の代表だった「オーストラリアドル (豪ドル) 」ですが、高金利だったのは 2008 年のことで、当時 7.25 % だった政策金利は、2019 年では 1.5 % まで落ちています。
スワップ金利は各国の政策金利に依るため、「現在のスワップ金利が恒久的に続く!」と夢想するのはやめておいたほうが懸命でしょう。
ではでは (=゚ω゚)ノ