以前勤めていた中小企業で全社員対象のリストラ (希望退職) に遭遇したことがあります。
当時 20 代後半です。
事の顛末を先にお話すると、自分は対象者でしたがお断りしました。
突然の全社ミーティング
ある日突然、何の前触れもなく、全社ミーティングを実施するという連絡が人事から来たのが始まりです。
社員は参加必須らしく、案内メール中ではかなり念入りに「必ず参加するように!」ということが書かれていました。
半期ごとの全社キックオフも最近やったばかりだし「この時期に何の話だろう??」といった感想でした。
当時勤めていた企業は 130 人くらいの中小企業だったのですが、
それだけ収容できる会議室は社内にないため、付近のビルの大会議室が会場でした。
なぞの封筒
会場に着くと、会議室の入り口前で人事部が受付をしています。
自分の名前を告げると、何も書かれていない封筒を渡されました。
封筒の中を見ると、日程が書かれただけの紙が入っていました。
人事部長からのお話
全社ミーティングが始まりました。
「突然の召集申し訳ありません」という言葉と共に、人事部長から早々に要件が伝えられます。
業績が大幅に悪化
人を大事にするという前提でやってきた
この前提にメスを入れないといけないほどの状態
全社員を対象に希望退職を募る
希望退職にあたっての条件
希望退職に伴う一時金は契約年俸の 8 ヶ月分
会社と提携した転職エージェントが転職サポートをしてくれる
自力で転職活動をする場合、30 万円を一時金に上乗せしてくれる
転職活動中は会社にこなくても出勤扱いにしてくれる
明日から社員 1 人ずつ面談を実施する
受付で渡した封筒に入っている紙はその日程
事前情報もなく、その場でいきなりこんな内容を伝えられます。
社員たちは予想外の出来事に皆「(,, ゚Д゚)ポカーン」としていました。
リストラというといきなり「お前明日から会社こなくていいよ^^」みたいなイメージがあるかと思っていたのですが、
きちんと希望をヒアリングする場が設けられていたり、外部の転職サービスと提携していたりと、最低限のサポートはしてくれるようでした。
人事部長の話のあとは、転職エージェントからサービスの概要を受けましたが、突然の出来事だったので、まったく頭に入ってきませんでした (笑)
全社ミーティング後
うなだれる中高年
「やべぇ、うちの会社もとうとうか!!w」と盛り上がる若手
ボクは後者でした\(^o^)/
IT 職の場合、転職が容易なので、希望退職してもどうにでもなるのか楽観的でした。しかも自己都合と違い、会社都合の話なので転職活動はしやすいのです。
中高年たちは、この世の終わりかのような沈みっぷりでした。
住宅ローン、家族、学費・・・、いろいろと一気にのし掛かってきたようです。
個別面談
3 日ほど開けて、自分が所属する部署の部長との面談をしました。
自分の面談相手の部長は、最近親会社から天下ってきたばかりの人だったので、ほとんど面識のない方でして「天下り直後にリストラ対応とかこの人も大変だなぁ」と感じていた記憶があります。
まず希望退職に伴う一時金の金額を告げられます
自分の場合は 450 万円ほどでした。
この金額が多いか少ないかというと、当時は「少ないな」と感じた記憶があります。
キャリアアップのためタイミングを見計らった転職ではく、
自分の意思がなく、急いで転職先を決めないといけない以上、場合によっては年収が落ちる可能性があったため、そのリスクを考えると若干少ないと感じたわけです。
ただし希望退職が全社員対象である以上、ここまでは建前やっておかないといけない話で、
ボク自身への個別の話としては「会社としては希望退職に応じてほしくない」という旨を言われました。
自分が担当していた領域は赤字を生み出していた分野でなく、会社がこれから注力していこうとする分野だからだそうです。
それでも退職したいと言ったらどうなるんですか?


希望退職は、会社と本人両方の同意があってなされるので、会社が認めない場合、ただの退職扱いになることもあります。
(なんだそれ・・・)

辞めるつもりなかったのでそれ以上ツッコミませんでした。
その場で辞めるつもりない旨を伝えて、わずか 10 分で面談終了でした。
つまりボクの場合、建前上の面談をされただけでした。
他の人の場合
もっと年齢が上の人 (40 - 50 代) はガチなリストラ面談だったらしいです・・・。
生活や家族のために辞めるつもりがない旨を伝えても、何度も面談を繰り返され、
これ以上会社にいても仕事ないよ?
昇格も望めないだろうし、続けるモチベーションないと思うよ?
といったことを何度も言われていたそうです ((;゚Д゚)
想像通りのやつです。
しかも年齢的な問題もあり、紹介される再就職先は警備員など今までのキャリアがまったく活かせないようなもの多く、なかなか悲惨なものだと風の噂で聞きました。
というような人がいる一方、
中堅層 (30 代) たちはそこそこの金額の一時金が貰えることもあり、あっさり辞めていった人も多かったです。
大規模リストラを行うということで会社に見切りをつけた人もいましたし、いい機会だから大学に再入学する人なんかもいました。
自分自身に価値があって選択肢が多い人と、そうでない人の格差を垣間見た瞬間でした。
結果的に全社員の 3 割ほどの人が希望退職で去っていき、残った社員で社内の体制は再編成されました。
希望退職に応じるべきだったか
結局このあと 1 年後、転職活動をし内定をいただいたので自己都合で退職しました。
これまでの自分の人生でここまで大金がかかった選択肢は多くないため、何年も経った今でもたまに考えるのですが、
「あのとき希望退職に応じるべきだったかどうか」
うーん、どっちにしろ生涯年収に大差はなかったかなというのが正直な感想です。
希望退職を蹴ってタイミング見計らったおかげで給与アップの転職できましたし、
一時金を受け取り希望退職して多少給与が下がっていたとしてもその分の補填にはなっただろうという印象です。
しょせん 450 万円程度ではそこまで人生に大きな変化は生じません。
ただし「450 万円あったら、当時の借金はほとんど消すことができたのではないだろうか・・・」ということも、最近やっとお金に敏感になり始めたボクは考えたのでした。
借金をチャラにするために希望退職に申し込むのも選択肢の 1 つだったのかもしれません。
当時は思いつきもしませんでしたが。
もし今、希望退職を募集すると言われたら・・・
いまの会社で同様に退職金割増で希望退職を募ると言われたら、正直かなり揺らぎますね (笑)
そのくらい仕事に対するモチベーションがない\(^o^)/
当然金額との折り合いにはなりますがー。
800 万円以上だったら、1 週間は悩むと思います。
1000 万円だったら 3 日悩みます。
2000 万円だったら即決で辞めてやります。